Agape World
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河田美賀子

 

アガペでいただいた大切な出会い

 

私たち夫婦は、音楽家です。 私は歌うたいでピアノの弾き語りをし、オカリナ奏者でもあります。夫の河田清治はトランペッターで、よく皆さんの前ではより温かい音のするフリューゲルホーンを吹きます。

 

アガペのレセプションで、2人で演奏をする機会を何度もいただきました。また、保土ヶ谷英連邦軍人墓地でのセレモニーでも、緑の芝生の上でトランペットやオカリナを奏でました。私は、語彙が少ないなりに英語で会話をすることが好きで、アガペで来日された方たちと触れ合うことも、喜びをもってさせていただいています。 アガペを通して、今までに幾つかの大きな出会いがありました。そのことをここに書かせていただきます。

 

2002年の秋、アガペ主催「心の癒しと和解の旅」を通して、私はイギリス人で元捕虜の小柄なおじいちゃんに出会いました。 このおじいちゃんは、57年間も日本を憎んで生きてきた人で、深い苦渋のしわが顔に刻み込まれていました。 彼は、日本人をJapと呼び、自分たちへの日本軍の残虐行為について新聞や雑誌に多数投稿し、98年の天皇皇后訪英歓迎式典では、時の首相ブレア氏と天皇皇后が目の前を通り過ぎる時、抗議のために日章旗を燃やすパフォーマンスをして、新聞やニュースに大きく取り上げられた人でした。

 

しかし、来日した後、彼の日本への見方は180度変わり、私がその旅の終わりに出会ったときには、すでに憎しみから解き放たれ、車イスからも解放されて、日本が大好きなおじいちゃんになっていました。 私は、何年か前に、日章旗が燃やされたニュースをたまたまテレビで見ていて、日本をそんなにも憎んでいる人がいることに驚き、とても印象に残っていました。

 

その2年後に私はクリスチャンとなり、それから4年後に私の属する久遠キリスト教会で、アガペの活動をお手伝いし、そのご本人と出会い、心を通わせ合うことになろうとは・・どう考えても不思議です。


 

 

今、彼は亡くなっていますが、その娘さん夫婦と私たち夫婦は仲良くお付き合いさせていただいていて、今月も、来日した彼らと共に楽しく過ごしています。このお付き合いはきっとこれからも続いていくことでしょう。 このおじいちゃんは、ジャック・カプランという方でした。彼らが帰国する前夜のレセプションで彼の目の前に立ったとき、あのニュースで大きな怒りを表現していた人が穏やかにそこに立っていることを思って胸が熱くなり、何も言葉が出ず、ただ"Can I hug you?"(あなたを抱きしめていいですか)とだけ言うことができました。ジャックさんは感動したように私をちょっとの間見つめ、"Sure"(もちろん)と言い、私たちはその場で肩を抱き合いました。それが出会いでした。そして、私たちは文通をするようになりました。

 

翌年夏、お宅を訪ねて再会したジャックさんは、話したいことがたくさんあると言って、何時間も私と夫の前で戦時中の体験を話し続けました。その隣で奥さんのクラウディアも、黙って聞いていました。彼が話す表情は、まるで孫娘にでも話して聞かせるかのようで、昔の新聞のインタビュー記事に載っていた厳しい顔つきとは全く違うものでした。私たち夫婦は彼らと、その1泊2日心を通わせ合いました。その翌年の1月、ジャックさんは亡くなりました。その年の夏、ジャックさんはもういませんでしたが、クラウディアさんは私たちを再び泊めてくれました。

今、彼の娘さん夫婦が2度目の日本の旅をとても喜んでいて、東京では私たちと遊んで楽しむようになったことを知ったら、ジャックさんはきっと喜んでくださったでしょう。いや、うらやましがるかな・・?(笑)

 

もう1つの出会いは、ウェールズのクリスチャンのご夫婦です。このご主人が、ボルネオのジャングルで日本軍がさせた死の行進でお兄さんを失った方です。私と夫がアガペの夏の旅に参加してイギリスに行ったとき、貸し切りバスの中で、私は自分が神さまに出会うまでの日々について語っていました。たどたどしい英語で一生懸命話しましたが(しかも長い間-笑-)、誰も聞いていないように見えました。ただ、1番後ろのご夫婦が励ますようにずっと私を見続け、相槌を打ってくださっていたのです。そして、それが本当にうれしくて、終わってから最後列に行った私の手を握り、本当に感動したよ、と何度も言ってくださった。それが出会いでした。 翌年、お宅に泊めていただき、それから数年後、また遊びに行って泊めていただきました。

 

ウェールズは美しい所です。ミカやキヨに見せたい所がたくさんある、と言って、ご夫婦で色々な所に連れて行ってくださいました。ウェールズは、ロンドンから長距離バスで7時間もかかりますが、その高いチケットも送ってきてくださいました。美しい景色と共に、そのおもてなし、温かさを今もなつかしく思い出します。 彼らが再び日本に来てくれたら、と思いますが、年を取っていてもう不可能だと言っています。だから、またそ私たちに来てほしい、と・・。また、会いに行って喜んでいただけたら、と思います。この地上では2度と会えないかもしれない、と思って別れる別れは、せつないものです。彼らがまだまだ元気でいてくれますように・・。

 

彼らの家の前に、静かな海が広がっていますが、その崖の上からの眺め、特に夕方は素晴らしかったです。私はそこに何度となく立ち、天のみくにを思ったものでした。その場所でそれぞれが立っているところを撮った写真を、私たちのファーストアルバムのジャケットに使いました。日本にはない海の景色です(私が知らないだけかもしれませんが・・)。そんな写真を、記念すべきファーストアルバムに使えたことも、神さまのプレゼントと感謝しています。

 

アガペとの関わり、ホームズ恵子さんや小菅啓子さん、その他のスタッフの方たちとの出会いも宝ですが、これらの、普通なら出会うことのないイギリスの方たちとの出会いも本当に宝物です。神さまに感謝します。 恵子さんに、自分たちの活動も宣伝してね、と言っていただきました。

 

 

 

私たちは、夫婦でイングレイスというユニットをやっています。私が作詞、作曲、アレンジをします。夫はフリューゲルホーン1本でしたが、これからはパーカッションもやってくれそうです。曲の感じは、どちらかといえばいやし系です。ファーストアルバムのタイトルは、Ingrace。 TOTOというアメリカのグループの、デビューアルバムタイトルがTOTOだったように、それだけを出したかったのです(笑)。でも、そのせいで、アーティスト名:河田美賀子、CDタイトル:Ingrace、というように間違われることが度々ありました。 今はまだ携帯サイト http://ccnonline.jp/ingrace/ しかなく、かつ、あまり更新していませんが、よろしければご覧いただければ、と思います。感謝しつつ・・。

 

2011年9月記

 

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